国民年金が免除になる年収は?免除になる所得の基準・条件を解説
国民年金は20歳~60歳の全ての方に加入が義務づけられている制度です。
会社員の場合は直接関係ありませんが、脱サラをし個人事業主になった方、失業した方などは国民年金を納めなければなりません。
ただ、失業した方や個人事業主になったばかりの方等の中には十分な年収が得られず、国民年金を免除にすることはできないか考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では日本年金機構を参考に、国民年金が免除になる年収について、
全額免除となる所得や免除の種類
年収の計算方法
免除を受ける際の注意点
上記を詳しく解説していきます。
この記事を読んでいただけたら、国民年金の免除について理解する事ができるので、現在支払いに困っている方や今後国民年金に切り替える方の参考になると思います。
ぜひ最後までご覧ください。
国民年金が全額免除になる年収・所得はいくら?世帯別に解説!
国民年金加入者の中には充分な年収が得られておらず、毎月の支払いを負担に思っている方もいると思います。
実は、国民年金には所得額が基準以下の場合、全額免除や全額とまではいかなくても一部免除や猶予を与えてくれる制度があるのです。
年収ではなく所得額で免除や猶予等が決まってくるので、読者の中にも該当する方がいるかもしれません。
ここからは、全額免除になる世帯別の年収の例や、免除・猶予について詳しくお話していきます。
国民年金が全額免除になる年収例(独身・単身、母子家庭、夫婦)
国民年金は所得額が基準以下の場合、全額免除になります。
ここからは世帯別に全額免除となる年収の例を紹介していきます。
1人暮らし:120万円程度
夫婦:155万円程度
母子家庭(子供1人):155万円程度
年収が上記に挙げた金額程度であれば、全額免除を受けられる可能性が高いです。ただ、申請を行わないと免除を受けることはできないので、悩んでいる方は一度、年金事務所や役所に相談してみると良いと思います。
支払えない方の中には申請を行わずに未納とする方もいますが、未納にすると督促状が来たり、差し押さえになることもあります。
そのため、支払えないと思ったら免除の申請をすることをおススメします。
所得以外にも国民年金の全額免除となる基準がある
先ほど、国民年金が全額免除になる年収例を話しましたが、実は全額免除される基準は所得だけではありません。
国民年金には、特例免除と法定免除という制度もあります。
失業や被災により支払いが難しくなってしまった場合、全額免除されるという制度です。
ただ、被災したといっても被害が小さいと全額免除は適用されません。免除となる被害規模は「住宅・家財など財産の約半分以上の被害」とされています。
失業で支払いが難しくなってしまった場合には、失業の状態にあることが認められれば全額免除や猶予になるので、必ず申請を行うようにしましょう。
申請をすれば審査をせずに、国民年金が全額免除になる制度です。法定免除は、以下のいずれかに該当する方に適用されます。
障害年金を受けている方(1・2級に限る)
生活保護を受けている方
ハンセン病療養所など厚生労働省が指定した場所で療養している方
法定免除に該当する方でも、国民年金を納付することは可能です。ただ、法定免除となっている原因が改善しなければ年金を受給する年齢になっても、国民年金はもらえないので、注意して下さい。
国民年金の全額免除がダメでも一部免除(減額)がある
国民年金には支払いが困難な方に向けて、全額免除だけでなく一部免除(減額)という制度も設けています。
一部免除には所得額に応じて、3/4免除、半額免除、1/4免除という種類があります。このため、世帯年収が高く全額免除が適用されない場合でも、一部免除であれば適用される可能性が高いです。
支払いが厳しい場合には免除の申請を行ってみてください。
国民年金の免除がダメでも猶予される可能性がある
免除の申請をし、認められなかった場合でもすぐに諦める必要はありません。国民年金には免除の他に猶予制度というものが設けられています。
猶予制度とは:本人及び配偶者の前年所得が一定金額以下の場合に、納付が猶予されるもの。
猶予制度の所得条件は、全額免除の時と同じです。ただ免除と違って、猶予の場合は支払いが先送りにされただけなので、後から支払いを必ず行わなければなりません。
また、この猶予制度は2025年で廃止される予定となっていますので、制度が終わる前に年金を支払えるようにする必要があるといえます。
母子家庭の国民年金の免除制度とは
そのため、母子家庭には国民年金の納付の免除制度が存在します。
申請すると、年収や所得に応じて「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/4免除」のどれかが認められる可能性が高いので、その分、経済的な余裕が生まれますね。
一方で、免除し続けると、老後にもらえる年金額は少なくなります。
仮に、40年間、全額納付すると、年間で80万円もらえます。
しかし、20年は全額納付したけれど、残りの20年を全額免除にすると、もらえる年金額はおよそ53万円となり、33%ほど少なくなります。
日々の節約などをがんばっても経済的に苦しいときは、年金の免除制度を利用することも検討すべきですが、将来のことを考えると、多少しんどくても納付し続けるか、年金以外の部分でしっかり貯蓄しなくてはいけません。
必ず免除制度を使う、ということではなく、期間を限定して利用するなどの工夫が必要でしょう。
国民年金が免除される所得の計算式
国民年金が免除される所得額の基準は、免除額に応じて異なりますので、いくつかのパターンに分けて、確認してみましょう。
ちなみに所得は、会社員なら「年収ー給与所得控除」、自営業やフリーランスなら「年収ー必要経費」の金額です。
単身では次のように計算されます。
免除基準所得
全額免除 35万×1人+22万=57万円
3/4免除 78万円
半額免除 118万円
1/4免除 158万円
母親と17歳の子どもが1人いるときは、次のように計算されます。
免除基準
所得
全額免除 35万×2人+22万=92万円
3/4免除 78万+63万×1人=141万円
半額免除 118万+63万×1人=181万円
1/4免除 158万+63万円×1人=221万円
全額免除以外の免除に関しては、上記の数に、社会保険料控除額や医療費控除、雑損控除などを加算した金額が所得の判定ラインです。
その所得額を下回ると、国民年金の免除申請が認められるんですね。
16歳~23歳までは特定扶養親族になるので、今回は、17歳の子どもは1人につき63万円の控除があります。
仮に子どもが16歳未満であれば、控除額は1人につき38万円です。
注意:寡婦控除や特別寡婦控除は計算に含まれない
国民年金の免除の基準となる所得では、所得控除や社会保険料控除は計算に含めることが分かりますが、母子家庭の方としては寡婦控除や特別寡婦控除は計算に含められるのかも気になる所だと思います。
結論から言うと、寡婦控除や特別寡婦控除は計算に含まれません。
一般的な所得の計算であれば寡婦の場合27万円、特別寡婦の場合35万円の控除を受けることができますが、国民年金の所得計算には含めることができないので注意してください。
国民年金の免除についての注意点
ここまで、国民年金の免除が受けられる基準についてお話してきましたが、免除を受ける際には注意してほしいことがいくつかあります。
ここからは、国民年金の免除についての注意点をお話していきます。
国民年金の免除が認められる所得条件は世帯のもの
国民年金の免除は低収入の方はもちろん、ニートの方でも受けることが可能です。
ただ、1人暮らしではなく親や配偶者と同居している場合、免除が認められない可能性が高いです。
なぜなら国民年金が免除されるのは、世帯所得が基準以下の場合であるからです。そのため自身の収入が0であったとしても、同居している親や配偶者の方の所得が基準以上であれば、免除は認められないことになります。
国民年金は扶養に入ると免除になる
国民年金が免除されるのは、基本的に所得が基準以下の場合のみです。
ただ、所得が基準より高く免除にならなかった場合でも、ある条件を満たせば免除となる可能性があります。
それは、扶養に入ることです。国民年金は厚生年金加入者の扶養に入ると免除されることになっています。
ただ、誰でも扶養に入れるわけではありません。扶養に入れる方の条件は以下の通りです。
本人の年収が130万円以下
20歳~60歳の主婦・主夫
上記を見れば分かると思いますが、子供を扶養に入れることはできません。
そのため、20歳を過ぎた子供の年収が低く、国民年金の支払いに困っている場合には、免除や猶予制度の利用を検討することをおすすめします。
また配偶者の扶養に入っても、本人の年収が130万円以上になってしまうと扶養から外れることになるので、注意してください。
国民年金の免除期間は7月から翌年6月まで
国民年金の免除期間は、7月~翌年6月までとなっています。免除を希望する方は、7月以降に申請するようにしましょう。
7月以前に支払いができず未納期間があった場合でも、2年1カ月前までの期間であれば申請をすれば免除期間にすることが可能です。
そのため、未納期間がある方はそのままにせず、7月以降の免除申請時に未納期間も免除になるかどうか確認してみることをおすすめします。
また免除される期間は翌年6月までです。翌年6月以降も、支払いが厳しい時は7月以降に再度免除の申請へ行くようにしてください。
免除された年金を後で納めることもできる(追納制度)
国民年金を免除された期間も、受給資格期間に当たります。そのため免除期間があっても、年金の受給可能年齢になれば受給することが可能です。
ただ受給額は免除された割合によって、減額されることになります。そのため、免除された期間をそのままにしておくと、年金受給時に満額もらうことができません。
そうならないために、国民年金の免除期間がある場合には追納できるようになっています。追納を行い、免除された額を全て支払えば年金を満額受け取ることが可能です。
遡って追納ができるのは10年以内となっているので、免除期間がある方はなるべく早めに、追納を行うことをおすすめします。
ただ追納をする際、免除を受けてから3年を過ぎると、加算金がかかってしまい負担が増えてしまうことを覚えておいてください。
参考:国民年金の免除と滞納は異なる
国民年金の免除と滞納を、同じように考えている人もいるようですが、全く異なります。
滞納は、全額納付しなくてはいけないのに、そのまま納付せず放っておくことです。そのため、納付期限が過ぎると、催促状や通知書が来て、最終的には差し押さえになります。
通知書が来ても対応しないと、いつ差し押さえられても文句は言えません。
一方で免除は、年金の納付を合法的にいったん止めることです。
しかも、免除であれば、将来の年金の受給資格の年数に算入されます。
もちろん、免除のママにしておくと将来もらえる年金額は減りますが、10年以内であれば追納することも可能です。
国民年金保険料を支払うのが難しいと感じたら、早めに市役所や区役所に相談しましょう。
国民年金を免除してもらう際の申請方法
国民年金を免除するときの申請方法は、以下の通りです。
申請書を、役所や日本年金機構のHPからダウンロードするか、役所で直接もらう
記入後、申請書と必要書類を提出する
2~3か月後に結果が通知される
申請書の提出は、窓口で行えますが、郵送でも可能です。
必要書類は、身元確認書のほかに、年金手帳や基礎年金番号通知書、失業しているときは、離職票や雇用保険受給資格者証なども必要です。
郵送するときは、それらのコピーを同封しましょう。
申請結果が出るまでには、2~3か月かかりますので、納付書は納付せずに、保管しておいてください。
国民年金機構免除・納付猶予申請書
まとめ:国民年金は所得額が基準以下の場合全額免除になる
今回の記事のポイントは、
免除が認められるのは基本的に所得が基準以下の場合
免除にならなくても猶予が認められる場合がある
扶養に入れば免除が認められる
免除期間分の金額は10年以内であれば追納することができる
以上のことでした。
国民年金は納付が義務づけられていますが、失業したり収入が減ってしまったりして、支払えない時もあると思います。
ただその際、未納にしてしまうのではなく免除や猶予制度を検討すると良いと思います。
免除や猶予を受ける際には様々な条件や注意点などもありますので、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
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