国民健康保険には、社会保険と違って扶養の概念がありません。そのため、仕事をしていない子どもも保険料を負担します。
国民健康保険料は、医療分と支援分と介護分の3つから構成されます。なお、介護分は40~64歳までに支払うものなので、子どもの国民健康保険料を計算する際には不要です。
また、国民健康保険料は、応益(均等割、平等割)と応能(所得割、資産割)で設定されます。そのなかで、国民健康保険加入者が全員負担する均等割は、所得のない子どもであっても納めなければなりません。
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子どもの国民健康保険料はいくら?上述のとおり、所得のない子どもも国民健康保険に加入して保険料を納めます。ここで疑問になるのは、「大人と同じ金額であるかどうか」でしょう。結論からいうと、子どもには減額制度があるため、所得のない大人と必ずしも同じ額にはなりません。
本項では、子どもの均等割の額減額制度について解説します。また、子どもの国民健康保険料の計算方法についても説明しましたので、参考にしてください。
子育て世帯の経済的負担を軽減するため、令和4年4月から子どもには国民健康保険料の均等割保険料が減額される「均等割額の減額措置」がとられています。これは、子どもの均等割額を公費により5割減額となる制度です。
子どもの均等割額減額措置を受けられる対象は、全世帯の未就学児です。親の所得は関係なく、すべての未就学児が対象となります。
子どもの国民健康保険料の計算方法を見ていきましょう。子どもが納めるのは均等割額ですが、住んでいる自治体によって金額が違います。計算の際は、お住まいの自治体のホームページを参照しましょう。
本項では一例として、令和4年度分 東京都江東区を参考に計算しました。江東区では、所得に関わらず国民健康保険料均等割の医療分は4万2100円、支援分は1万3200円です。なお、介護分は40~64歳までなので、子どもの国民健康保険料の計算には含みません。
医療分4万2100円+支援分1万3200円=5万5300円/年
子どもの均等割額は5割減額であるため、5万5300円÷2=2万7650円/年 です。
上述のとおり、未就学児は均等割額の減額措置があるため、所得のない大人と同じ金額ではありません。しかし、小学生以上の子どもは所得のない大人と同じ額になります。
子ども向けの均等割額の減額措置以外にも、低所得世帯向けに応益保険料の軽減措置があります。世帯の所得が低い場合、最大7割の減額が可能です。
応益保険料の軽減措置がある際、子どもの均等割額減額措置と合わせてどれくらい軽減されるのか、図表1で見ていきましょう。
【図表1】
厚生労働省「子どもに係る国民健康保険料等の均等割額の減額措置(国民健康保険制度)」より筆者作成
応益保険料の軽減措置で最大7割の減額を受けられる際、被保険者は残りの3割を負担しますが、子どもの均等割額の減額措置がある場合は、さらにそこから5割の国民健康保険料が減額されます。10割-7割=3割÷2=1.5割が負担する保険料です。
軽減措置と子どもの均等割額の減額措置と合わせると、子どもの国民健康保険料は最大8.5割軽減されます。
子どもの国民健康保険加入手続きは、お住まいの自治体の役所窓口にて出生から14日以内に行います。
手続きに必要なものは、以下のとおりです。
●親の国民健康保険証
●免許証やパスポートなど親の本人確認書類
●親のマイナンバーカードまたは通知カード
●届出人の印鑑
●母子手帳
自治体によって手続きに必要なものは異なるため、事前に確認するとよいでしょう。
国民健康保険の場合は扶養の概念がないため、所得のない子どもも加入します。しかし未就学児の場合は均等割額減額措置があり、所得のない大人と同じ金額ではありません。小学生以上になると大人と同じ国民健康保険料となる点には注意が必要ですが、世帯の所得が低い場合は、応益保険料の軽減措置が受けられます。
自治体によって負担額も違うため、子どもの国民健康保険料を知りたい場合は、本記事と自治体のホームページなどを参考に計算してみましょう。
厚生労働省 子どもに係る国民健康保険料等の均等割額の減額措置(国民健康保険制度)
厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
江東区 国民健康保険料の計算方法・試算シート
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部