「企業型確定拠出年金」に加入していた人が転職などによって加入者資格を失うと、転職先などの確定拠出年金や「iDeCo」に移し換えるか、脱退手続きを取ることが必要です。
加入者資格を失ってから6ヶ月以内に手続きを行わなかった場合、その人の資産は国民年金基金連合会に移されます。これが「自動移換」になった状態です。
自動移換の状態のままではメリットは無く、主に以下のようなデメリットがあります。
通算10年以上の加入者等期間があれば、老齢給付金が原則として60歳から受給できますが、自動移換中はその期間とされないため、受給開始が遅れてしまう可能性があります。
投資信託などで運用していた年金資産は、いったん全て売却され現金化されます。その後に国民年金基金連合会に移換されるので、投資信託などの運用ができません。
自動移換される際には国民年金基金連合会に事務手数料として1048円、特定運営管理機関に対して3300円の手数料が徴収されます。自動移換されてから4ヶ月後の月末までに移換などの手続きをしなければ、その後は月額52円の管理手数料が年金資産から徴収され続けてゆきます。
確定拠出年金の老齢給付金を一時金として受け取る場合の「退職所得控除」の金額が減ってしまうこともあります。自動移換中は「退職所得控除」の計算に必要な勤続年数に算入されないため、一時金受取時の税制優遇効果が低下する可能性があります。
「自動移換」になると国民年金基金連合会から「自動移換通知」が送付され、その後年1回「定期通知」が送られてきます。通知には、資産の状況や手数料などが記載されています。
資産が0円の場合、確定拠出年金に加入されていた期間などに関する情報だけを国民年金基金連合会が管理しているので、移換手続きは不要です。
自動移換された場合の選択肢は、主に以下の4通りです。
・転職先の企業型確定拠出年金、または確定給付企業年金に移換する
・「iDeCo」の加入者になり、掛け金の拠出を続ける
・「iDeCo」の「運用指図者」になる(掛け金を拠出せず、支給開始年齢(原則60歳)まで運用のみを行う)
・脱退一時金を受け取る(一定の受給要件を満たしている場合に限ります)
変更手続きには、選択肢によって書式が違う書類をそれぞれ提出することと、以下の手数料がかかります。(図表1)
【図表1 自動移換後の手続きのための手数料】
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まとめ年金の手続きは複雑で、様々な書類を提出したり時間がかかるため、いつの間にか「自動移換」や「加入期間が不足していた」などの事態が起こりやすいです。
資産が減ってゆく「自動移換」を少しでも減らすために、新たに別の確定拠出年金制度の加入口座があり、本人情報(基礎年金番号・性別・生年月日・カナ氏名)が一致する場合は、その新しい確定拠出年金口座などに移されることがあります。
自動移換されていて、新たに別の企業型確定拠出年金または「iDeCo」などに加入する場合には「現在、自動移換の状態にある」ことを申し出てください。
(企業型確定拠出年金の場合は担当部署に、「iDeCo」の場合は加入手続きをする運営管理機関に申し出てください)
今まで積み立ててきた確定拠出年金の資産を守るために、定期的に加入状況などを確認しておくことをおすすめします。
iDeCo 公式サイト 業務状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部